滋賀県大津市茶臼山公園に面する共同住宅の一室のリノベーションである。
躯体間口が8m以上あり、主開口から近景では茶臼山公園の豊富な緑、遠景では琵琶湖から瀬田川へと収束する水系を中心とした近江盆地が望める環境にある。そして反対側には二箇所のまとまった開口があり、解体して現地を訪れた時、景色に向かって抜けていく心地よい風を感じた。

この外部環境を感じられる住戸の魅力を最大限活かせる計画として、住戸内を極力複数の部屋に細切れにせず、家族共有の広いワンルームのプランとした。
食べる、寝る、遊ぶ、勉強する、仕事する、料理する、洗濯する、住戸の中でアクティビティが干渉しあい、居場所が流動的に変化する、家族・環境ともに風通しのよいくらしの実現を目指した。

この住戸には、長いキッチンカウンター、大きなクローゼット、大きな2段ベッドと、ワンルームだからこそできるスケール要素をちりばめている。
床材についても、比較的スケールの大きいものを求め、NORDOのフローリングにいきついた。さらに、既存建物のコンクリートのラフさ、窓から見える緑豊かな風景、それらに呼応すべく質感を考慮して採用した。

設計 ： 株式会社OHArchitecture