「大原美術館 新児島館 (仮称)」は大正11年(1922年)に建てられた倉敷市重要文化財「旧中国銀行倉敷本町出張所」を美術館施設として再生するプロジェクト。
大正時代の趣を残した外観やルネサンス調の円柱やステンドグラス、優雅な吹き抜けの空間の残る倉敷初の本格的洋風建築です。
新児島館プロジェクトを進める中で床について職員にヒアリングしたところ、本館、分館など既存施設の床の一部で歩行音が反響して困るという意見がありました。特にフローリングの木材の堅い音は評判がよくありませんでした。
カーペット敷きは衛生管理に手間がかかります。美術館なので虫害などにも気をつけなければなりませんが、その点でカーペットは管理が面倒です。大原美術館のある倉敷美観地区は、町歩きを楽しむエリアですが、美術館には建物がたくさんあるので、敷地内でもお客様に歩いていただかなければならない、さらに美術館の中もあちこち歩いて鑑賞するので、足あたりがきついと足の疲れを感じやすいということがあり、職員から、足当たりの適度に柔らかな疲れを感じさせない床材がいいとの希望がありました。
コルクの耐久性とメンテナンス性は気になって、調べたところ一般的なコルクの場合は貼り替えが難しいのに比べ今回の商品は貼り替えが簡単なところと日常のメンテナンスが可能な点が、採用のポイントでした。
本商品を採用されている他のミュージアムを見に行った時に、やはり使用による傷などもあると感じましたがあまり気になりませんでした。当美術館は、素材が経年で変化していく、ということを一つの味わいとして受け止めています。また、新児島館(仮称)は大正時代の建物なので、ガチガチピカピカしたものはむしろ不釣り合いです。今回の商品は模様のバリエーションもかなりあって、傷も目立ちにくいので、ちょっとした変化は風合い、味わいとして受け入れていけるだろうなというところで決定しました。クラシカルな空間にも現代美術作品にも調和しており、想像以上に満足な仕上がりです。
困った点は、特殊なケースだと思いますが、文化財建物であるため、施工にあたってむやみに床を削ったりすることはできません。溝と蓋を作っていく際、端部の処理を金属でしなくてはいけなかったのは大変でした。
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PRODUCT |
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展示室フローリング : CorkComfort Signature/NIGHTSHADE |
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階段部 : Timide |
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設計 |
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ユー・アール設計医療福祉施設研究室 |
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最近、古民家改修工事でコルクを使う方が増えています。ヨーロッパの床材が時を経た建物にしっくりくるのは、ヨーロッパの人々は経年した空間と素材の価値をうまく融合させるセンスを磨いているからかなあ、と吉川さんのお話を聞いて思いました。
営業:須田 勝之 |
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