2010年6月29日号
このメールはいままでに当社のスタッフが名刺交換をさせていただいたお客様、製品のお問い合わせを下さったお客様、今までにもメールマガジンをご愛読頂いてきたお客様に配信させていただいております。
2015年Expo開催都市ミラノでは、5年後に向けて大規模な都市改造計画が進んでいます。
どこへ行っても工事中です。
そんな空気をお伝えする為に、ミラノ通信では1950年代以降のミラノ近代建築と21世紀の建築プロジェクトをいくつか連載でご紹介しようと思います。
まず第1回は1970年代初頭の都市開発。
エーディーワールドのミラノ事務所の在る、1960年代の終わりから70年代初頭にかけて開発されたミラノの住宅と商業の複合市街地ミラノ・サンフェリーチェはMirano2(ミラノドゥエ)と並ぶ都市開発の代表作です。
ドゥオモを中心とした旧市街から東約3キロに位置しており、600,000平方メートルの敷地の70%が30,000本を超える植物を植えた庭と、緑が非常に豊富なコミュニティです。
建築とインテリアデザインはアルテミデ社のランプやカッシーナ社の家具のデザインで有名な Vico Magistretti ( ヴィーコ・マジストレッティ ) によるものです。
Vico Magistretti
日食と言う名前のミラノデザインを代表するテーブルランプECLISSE(エクリッセ)
余談ですが、2006年に惜しくも亡くなったヴィーコ氏に今から10年程前にミラノ郊外にある家具メーカーの廊下でばったり遭遇した事が有ります。狭い廊下ですれ違う際に、微笑みながら挨拶をして女性の私に道を譲ってくれる、その立ち居振る舞いはまさしく「ミラノのいい男」だったわ。とても素敵な人でした。
入り口の円形で一面ガラス壁のゲート。
いかにもVicoデザインらしい、エクリッセを連想させる街灯。
コミュニティは10棟の高層集合住宅と 1,000 所帯程の低層タウンハウスと戸建て、オフィスビル、インフラとしてスーパーマーケットと30店程のお店、レストランなどのあるショッピングエリア、銀行、郵便局、学校(幼稚園から中学迄)、スポーツセンター、教会などから構成されています。
樹齢40年超の大木の茂る中庭。
ミラノの夏はとても暑く日差しが強いのですが、つたや藤のお陰で夏の外壁の温度上昇は抑えられていると思います。
インテリアに関しては、キッチンや室内ドア、金物、照明器具など、60年代後半から 70 年代初頭のイタリアモダンデザインの宝庫だったのですが、プロジェクトの完成から40年を経て、残念ながらオリジナルのインテリアデザインが今も残っている住居はごく僅かなようです。
持家率が高く固定資産税や相続税がほとんど無いに等しいイタリアでは、古い建物に最新のインテリアという住み方が多く、特にイタリア近代デザインの中心地に住むミラネーゼ達はインテリアを変えるのが大好きで、10年単位で大改装する事も多いのです。
次回はサンフェリーチェの目の前に建つ、 Palazzo Mondadori (パラッツォ・モンダドーリ)をご紹介する予定です。ガラスの箱に美しい15メーターの弓形のコンクリート柱の組み合わせのデザインです。荘厳な美しいフォルムは18年間毎日見ているはずの私ですら、その度に初めて見るような新鮮な感動を覚えます。
ブラジル外務省「弓の宮殿」を見て感動したイタリア最大手の出版社 Mondadori 社のオーナーがオスカー・ニーマイヤーに同じものを!と依頼し、1968年から6年の工事期間を経て完成した美しい外観は、近代建築の代表作として多くの本で紹介されていますが、内部の画像はごく少ないようです。私の親友がモンダドーリ社のとある月刊誌でグラフィックスディレクターをしているので、彼女を社員食堂ランチに訪ねながら彼女に迷惑をかけない程度に画像を撮ろうと思います。
by AD WORLDミラノ 平澤潤子
ミラノでの仕事&生活もこの3月で19年目にはいりました。
木にこだわり続けています。
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